悪魔の
寒蘭用語辞典
   
  悪貨は良貨を駆逐する
金本位制時代における経済用語
質の良い金貨と悪い金貨の2種類が流通した場合
質の良い金貨は大事にしまいこまれ流通するのは
悪貨だけになってしまうという意味
  悪花は良花を駆逐する
寒蘭業界においてもまったく同様のことがおきる
名花の登録品と粗悪な坪採りあるいは偽物が流通した場合
人から人へ流通していくのは粗悪品だけになってしまう。
  悪花千里を走る
今や産地から遠く離れていてもネットオークションや通販サイトを介しあっという間に届いてしまいます。
好花不出門もセットで用いられる。
   
  言わぬが花
口に出して言わない方が差し障りもなくて良い。また、そういうおくゆかしさが粋である。
口には出さずともこういうサイトで書きまくっている自分は粋ではないのだな。
   
  海千山千
海に千年、山に千年住んだ蛇は竜になる言い伝えから出たことわざ。
経験を積み、人生の裏表を知り、抜け目なくずる賢くなるということ。
寒蘭業界ではどうでしょうか?
   
  エントロピー増大の法則
別名熱力学第2法則
物事は秩序の保たれた状態から無秩序の状態へ自然と
進むという意味で用いられる
寒蘭業界においても名花が登録されたときは登録株が
あるだけの秩序の保たれた状態であるが時間の経過とともに
坪採り、偽物が入り混じった無秩序の状態になるというこの
法則に矛盾しない現象が起きる。
   
  潅水
いわゆる水遣り。水遣り3年という言葉があるくらいで一家言持つ方も多い。
でもこの意味は3年で水遣りがわかるという意味ではなく、
3年たてば水遣りで他人に惑わされなくなるという意味らしい
  寒蘭
花さえ咲かなければ多年草性の雑草であるが
なんとも多様性のある花を咲かせるために大の大人を虜にする魔性の草。
栽培法は水のやり方ひとつとっても人によっていろんな論が
あり、素人には一見難しく思われとっつきにくい園芸種である。
でも裏を返せばいろんな栽培法でもちゃんと育つ結構丈夫な植物。
   
  支柱に活を求める

絶望的な雑花と思える状況でもひな壇への道を模索する。
とりあえず支柱を立てて活路を見出すこと

支柱のすゝめ

謎の啓蒙思想家、教育者 福沢蘭きちによる著書
その中で花軸は皆、直線である事を説いた以下の一説はあまり有名ではない

天は支柱の右に花軸を作らず、支柱の左に花軸を作らず
  支柱の下の平等

日本国蘭法第14条第1項にはこう記されている・・かもしれない
すべて寒蘭は、支柱の下に平等であって、銘品、無銘、交配、山撒き、坪又は元棚により
政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
  縞咲き籐村

ごくまれに投稿される謎の小説家、詩人
「坪路はすべて山の中である」の書き出しで始まる 長編小説「開花前」はよく知られていない

  四万十川
高知県四万十市に河口を持つ大河、いわずと知れた
日本最後の清流でその流域には多数の寒蘭自生地が存在する。
日本最後の清流だがその水質は日本で上位ではあるものの
高知県では仁淀川のほうが水質が良いことはあまり知られていない
  新芽会
同好の趣味者の会の会員が新芽の付いた蘭を持ち寄り優劣をつける会
寒蘭愛好者は花だけでなく新芽も比べてみたくなるらしい。
   
  高嶺の花
高嶺の花とは、ただ遠くから眺めているだけで、自分のものにはできない。
これはそのままですね。
  宝の持ち腐れ
高価な名花の苗を所有していても花を咲かせることができずに枯らしてしまうこと。
  蓼食う虫も好き好き
人の好みは多様性に富む。
どう見ても普通の雑花だが気に入ってしまう事もある。
  棚採り
他所様のお棚から蘭を譲り受けること
非常に良く似た用語に「山採り」という言葉がある。
蘭が手に入るのは同じであるがその手法は大きく異なる  

駄目田蘭頭火 
ごくたまに当掲示板に作品を投稿される謎の俳人
坪放浪の俳人とも呼ばれている
最近はダニによるSFTウィルス感染が怖くて放浪をひかえているらしい
代表作
分け入っても分け入っても荒れた坪
   
 
いわゆる寒蘭の自生地
広さは座布団一枚程度の小さいものから山ひとつと大小様々。
良い花が出た坪はこれでもかというくらい掘られ地中の
生姜根まで持ち去られる。隕石が落ちたかと間違うこともしばしばである。
近年、「坪」よりも「壷」のほうがふさわしいので変えようという
動きがある。
 

坪採り


名花の出た坪からは後日坪採りなるものが多数流通する。
その蘭と採取された場所が同じという蘭。同坪品と同義語
採れた場所が同じあるいは近いというだけであり、
同じ花が咲く保障はされていないことを忘れずにいたいのだが
しばしば忘れる。
まれにはそれ以上の良花が咲くと思い込むこともある。
   
  展示会
同好の趣味者の会の会員が自慢の花を持ち寄り優劣をつける会
そのついでに訪問者に見せびらかす。
年に一度のお祭りである.。
   
  遠くの名花より近くの普通花
遠くにある、写真でしか確認できない名花より近所にある普通の花の方が得てして当てになる。
   
  ない蘭は咲かない
これは当たり前ですね。
  夏芽漱石
ごくまれに投稿される謎の小説家
土に働けば角が立つ。潅水に棹をさせば流される。施肥を通せば窮屈だ。兎角に寒蘭はむずかしい。
の出だしで始まる代表作「草真黒」はほとんど知られていない。

もう一つ代表作に「吾輩は蘭子である」があるがこれもほとんど知られていない。出だしは以下の如くである。
吾輩は蘭子である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所で細々咲いていた事だけは記憶している。
吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは寒蘭愛好者という人間中で一番獰悪(どうあく)な種族であったそうだ。
この寒蘭愛好者というのは時々我々を鉢から抜いて焼いて燃やすという話である・・・
   
  根が甘い
よくわからないのだが根が悪いという意味。なぜ甘いと表現するのか?
アシをヨシ、スルメをアタリメというのと同じか?
   
  花は未確認の
蘭商の通販サイト、ヤフオクの説明文で良く使われる常套句。
どんな花が咲いても文句は言うなとほとんど同義語。
  花を見て買え
蘭を購入する際の鉄則の一つ。
正確には花を見てその場でその鉢を買えである。
  バック出し
芋吹かしなどと同義語。古いバルブから新芽を出させること。
若いバルブに役目を譲り眠りにつこうとするが
欲深い寒蘭愛好者にたたき起こされもう一働きさせられるのである。
なかには怒って言うことを聞かないやつもいる。
   

一花だけを見れば
これも通販サイトやヤフオクで時々使われる言葉。
花間が取れないあるいは花径の抜けが悪いとほとんど同義語
  人を買え
蘭を購入する際の鉄則の一つ。
正確には「蘭を買うより人を買え」
信頼できる人物から買えということであろうか
しかし人を見ても結局どんな花が咲くかわからない
それに人を見るのは蘭を見る以上に難しい気もする
  平棚物語
秋の展示会を舞台に繰り広げられる雛壇と平棚をめぐる熱戦の物語、作者不詳とされる
以下の出だしはあまり有名ではない

とある蘭舎の主の声諸行無常の響きあり
更紗無点の花の色展示会必勝の理をあらわす
おごれる棚もひさしからず
ただ秋の夜の夢のごとし
たけき花もついには滅びぬ
ひとえに風の前の塵に同じ
   
  福沢蘭きち
ごくまれに投稿される謎の啓蒙思想家、教育者
「支柱のすゝめ 」の項参照
   
  蒔かぬ種は生えぬ
文字のとおり、種を蒔かなければ収穫はない。
採取だけではいけないのかもです。
   
  盛り法外
ごくまれに投稿される謎の小説家。
寒蘭をば早や積み果てつ。展示室の卓のほとりはいと靜にて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒なり。
の出だしで始まる代表作「まあ良い芽」はほとんど知られてないかも・・
   
  山採り
寒蘭栽培という農耕文化系の趣味の中にあって唯一狩猟文化系の要素を含む分野
非常に似た用語に「棚採り」と言う言葉がある
蘭が手に入るのは同じであるが手法が大きく異なる。




良さの蘭子

ごくたまに当掲示板に投稿される謎の歌人
蘭熱の歌人とも呼ばれている
代表作
山肌の厚き腐葉土に触れもみで悲しからずや蘭を説く君

吉田蘭好
ごくたまに当掲示板に投稿される謎の随筆家、歌人
随筆「とれとれ草」の作者として知られる
以下の出だしはあまり有名ではない

徒然なるままに、日暮らし斜面に向かいて
まなこに映りゆく由無し落ち葉を
そこはかとなく掻きつくれば
怪しうこそ物狂おしけれ


頼山苗

ごくたまに当掲示板に投稿される謎の歴史家、漢詩人
「武雄文化会館の戦い」を歌った漢詩はあまり有名ではない

靴音粛々朝登山
坪見十本擁山苗
遺恨十年育山苗
流涙鉢底逸雛壇 

(現代語訳)
靴の音も静かに早朝に山を登る
坪には十本のも山苗が出ているではないか
いろいろとあったものの10年間山苗を育て立派な成木になったが
雛段には残念ながら上ることはなくまるで蘭鉢の底からこぼれる水のように
涙があふれた
  蘭子
中国春秋時代の謎の愛蘭家
寒蘭の栽培法を記した「蘭子」は寒蘭栽培のバイブルと
され後の愛蘭家に多大な影響を与えた、、、かもしれない
その中で以下の文はあまり有名ではない。
蘭を知り己を知れば百鉢危うからず。  
   
  蘭商
蘭を取り扱う商人。
寒蘭の性質上、一年365日中355日は商品の確認は
できない。
また保証書、保障期間、クーリングオフなどもなく
購入者とのトラブルが絶えない。
  ランテスキュー
謎の啓蒙思想家
寒蘭栽培を潅水、採光、施肥の三つに分け 栽培が一極に集中することを避け
互いに均衡を保つことが必要と提唱した。
またすべての花は支柱の下に平等であることを説き
雑花を含めてすべての蘭は支柱を立ててもらえる権利があると主張した。
  蘭キチ
熱狂的な蘭愛好者のこと
こんなつまらないサイトを閲覧してるあなたも蘭キチの可能性がかなり高い。
  お詫び
最後になりましたが
福沢諭吉先生、島崎藤村先生、与謝野晶子先生、種田山頭火先生
平家物語の作者さま、吉田兼好先生、頼山陽先生、モンテスキュー先生
グレシャム先生、孫子先生(順不同)
ならびに読書愛好家、古典愛好家、短歌、俳句愛好家の皆様
に深くお詫び申し上げます。 夏目漱石先生、森鴎外先生にも深くお詫び申し上げます。